<胃のはなし 1.>では「胃は体のコンディションを教えている」とお話ししました。今回は胃の病気にの中で最もポピュラーな胃潰瘍についてお話しします。

「お腹がすくとみぞおちが痛む」
これが、胃潰瘍で一番多い症状です。なにか食べると良くなるというのもその特徴です。また、食欲がでない、口の中がスッパイ、胸がやけるなどの症状で始まることも多いようです。ほとんど症状に気がづかず、検診で見つかる人もあります。

「胃壁に穴があいている」
胃潰瘍というのは、胃壁が掘れて穴があいている状態です。
胃は食べ物を一時貯蔵し、その間にそれを溶かしたり、殺菌したりしています。ですから、胃の粘膜の表面が傷ついたり、血液の流れが悪くなったりすると、自分の消化力で自分の胃の壁を溶かしてしまうということが起こるのです。お腹がすく時は、胃の中の酸がしみるので痛むわけです。ここに水や食べ物が入ってくると、この酸がうすまるので痛みが楽になるわけです。

「春と秋に多い」
毎年、胃の検査が込み合う時期があります。年によって多少のづれはありますが、春と秋のある2 週間位に胃の痛みを訴えてくる人が次々にきます。
季節の変わり目で体のコンディションを崩すためではないかと考えています。

「ストレスや酒、タバコ、食物が原因に」
職場が変わったり、同居人のメンバーが変わったりという人間関係の変化が最もストレスとして胃にひびいて来るようです。 ストレスが加わると、胃液の酸が高まり、胃壁の血流が悪くなるので胃潰瘍になりやすくなります。酒やタバコ、食事時間の不定、消化の悪いものを多食するなども胃を刺激したり、胃壁の防護力を弱めたりで、胃潰瘍の原因となります。

「ヘリコバクター・ピロリ」
胃の中は強い酸性ですので、細菌はいないと考えられていましたが、12年前ヘリコバクター・ピロリという細菌が胃の中に発見され、これがいると胃炎、胃潰瘍、胃ガンなどになりやすいことが分かってきました。
胃潰瘍のなかなか治らないものなどは、このヘリコバクター・ピロリのためと言われるようになってきました。

「胃潰瘍はレントゲン、内視鏡検査で見つかります」
胃の検査には、バリウムを飲んで胃のレントゲン写真をとる、胃のレントゲン検査と、胃の中をのぞく、胃内視鏡検査があります。
胃潰瘍(胃に穴があいている)を見つけたら、それが普通の潰瘍か、ガンによるものか見分ける必要がありますが、ただ見ただけでは分かりにくく、そこの細胞をとってきて調べる必要があります。胃の中に病気があるかどうかと、細胞を調べる検査が同時にできる内視鏡の検査を受ける人が多くなっています。

「食生活の改善と薬で治ります」
胃潰瘍の原因の中で、季節的要素や、ストレスを受けやすい性格、家庭環境など変えるのは難しいことです。そこでできることは、食生活の改善と薬の服用です。食生活の改善は簡単に言うに、規則正しい食事を取ることと、消化の良いものを食べることです。
胃潰瘍治療薬は最近10年位の間に大変進歩しました。大抵のものは治るようになりましたので、手術をすることはほとんど無くなりました。
ヘリコバクター・ピロリを治療することは、抗生物質で簡単にできます。しかし、保険の治療上ではまだ使用が認められていません。

                          院 長